Liza Jane ジャズ初心者でも簡単にわかる戦前音楽解説シリーズ。

こんにちは。ニューオリンズの戦前ジャズ[Liza Jane]をジャズ初心者にもわかりやすいように解説する記事です。どうぞご覧下さい。

時代は今からおよそ110年前、場所はアメリカルイジアナ州ニューオリンズです。

本曲は正式なタイトルも定かではなく Li’lLizaJane、Little Liza Jane、Liza Jane、Goodbye Liza Janeとも呼ばれています。

1910年代に録音が残されていますが、それ以前の記録が存在しないという珍しい曲です。さらにトラディショナルジャズ、フォークミュージック、ブルーグラスなど様々なジャンルをスタンダードナンバーとなっています。

本曲について多くの研究も残されていますが、どの研究も原点はとある音楽スタイルに帰結しています。その音楽スタイルは”ニューオリンズブラスバンド”です。

現代ではその音質と保管への信頼性から”レコード盤”の存在が見直されています。しかしこの当時高価なレコードやレコードプレイヤーを所持することは難しく、楽譜が存在しない限り、口伝を中心に歌い継がれて来ました。

1905年、レコードが発表会される11年前にローカルソング(民謡的な扱い)として歌が出版された記録が残っています。これが楽譜なのか、歌詞なのかは謎です。

時代は少し進み1916年、場所はカリフォルニア州サンフランシスコに映ります。シャーマンクレイアンドカンパニーによって、エイダデラチャウ伯爵夫人(エイダルイーズメッツ 生没1866-1956年)の作曲として、唐突に本曲の楽譜が出版されました。これを書いている井上自身もこの記録を目にしたとき

『お前誰だよ?』

と声を出して突っ込んでしまいましたが、1916-1917年にブロードウェイのショー[Come out of the Kitchen]で場面転換時の効果音として使われたそうです。いろいろと闇の深い事情がありそうですが、上流階級のやることは今も昔もよくわからないことだらけです。

しかしお天道様、じゃなくて演奏家や音楽研究家が即座にこのイケナイ事実を指摘しています。特にルーシー・サーストンなる人物が、南北戦争の前にルイジアナ州コヴィントンの地域でアフリカにルーツを持つ人達によって[Ohoooooooo lil Liza、lil’Liza Jane]と歌われていたという証言を、インタビュー記事として発表しました。

さらに、1800年代頃よりアメリカで流行した旅芸人一座による大衆娯楽にも本曲、または[Eliza Jane]という名称や類似される楽曲が存在していたこともわかります。ちなみに、この旅芸人一座がのことを”ミンストレルショー”と言います。

[リル・ライザ・ジェーン]はミンストレルショーに登場する女性キャラクターの名称としてよく使われた名前で、このキャラクター名を冠した楽曲も多数作られ既に楽譜も出版されていました。

前述のナントカ伯爵婦人は完全に”やっちまった”わけですなー。

1918年に出版されたナタリー・カーティス・バーリン著「ネグロフォークソング」にはダンスゲームであることが記載されていました。

“Liza Janeは多数のカップルが輪を作って一人の男性を囲みます。 真ん中の男性は輪になっている一組のカップルから女性を[盗み]、あぶれた男性は輪の中央に行ってソロダンスを披露し、また別のカップルに割り込んで女性を盗むプロセスを繰り返す”

なんか女の子とダンスとか想像するだけで楽しそうな集いですが、ソロダンスでヘマしたら後でSNSでディスられたりしそうで踊りが下手だったら地獄です。

そしてさらに!本曲のメロディーは西アフリカのウェルカムソング[Fanga Alafia]という曲と強い類似性があることも指摘されています。

つまり、本曲は数世紀前にアフリカ大陸からやってきて、新大陸での過酷な環境の中、何世代にも渡り口伝により守り通されてきた曲なのでしょうか。真実はわかりませんが、この歌の持つ独特なメロディラインがその伝統と文化の繋がりを表しているように思えてなりません。

さて、最初期の重要な録音を紹介します。戦後はカバーがたくさん存在し、Fats Dominoなどのニューオリンズ出身のロック歌手が取り上げたことで、その時代やジャンルを超えて現在まで様々な場所で歌い続けられています。

■1917年9月 アールフラージャズバンド

このオリジナルバージョンがヒットしたため、現在スタンダードナンバーとして知られることになりました。

■1918年 ハリー.C. ブラウン

歌とバンジョーによる録音。カントリーミュージックとしても有名になりました。

以上でLiza Janeの解説を終わります。

孤独のヒュードの演奏による本曲のYouTube動画もありますので、こちらもパキーンとご覧下さい。それではまた。

井上大地

投稿者: Daichi Inoue 井上大地

Guitarist, Song writer

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