Between the devil and the deep blue sea ジャズ初心者でも簡単にわかる戦前音楽解説シリーズ。

こんにちは。アメリカの戦前ポップスの名曲[BetweentheDevil and the Deep Blue Sea]をジャズ初心者にも簡単にわかるように説明してみる記事です。どうぞご覧下さいませ。

時代は今からおよそ90年前(1931年)、場所はアメリカのニューヨークです。当時のアメリカは、みんなのお金がなぜか消滅する”謎の金融危機”が訪れ、アメリカ国内だけではなくアメリカと関わりのある国(日本もだよ)も突然貧乏になる現象が起きていました。この謎の金融危機を”世界大恐慌”と呼びます。

『おいアメリカぁ!どうなってじゃいこのボケぃ!』

という世界中からの総ツッコミに全米が震撼している世知辛い世相にもかかわらず、職業作曲家としてのキャリアを邁進する男がいました。その男の名はハロルド・アーレンです。

アーレンはこの後[Somewhere over the rainbow(1938年)]という映画のテーマ曲を書き、世界中の女の子達に『やっぱ家が一番よね』と思わせることにまんまと成功し、多くの非リア充男子を大量に生み出すことになるわけですが、その話は長くなるのでやめておきましょう。

さらに同時期のニューヨークで売り出し中の作詞家に”テッド・ケーラー”という男がいました。ケーラーは”Wrap your troubles in dreams(1931年)”の作詞でも知られていますが、この時代もっとも民衆に寄り添った歌詞を書いた人物とも言われてます。この二人による初の共作がBetween~です。

売り出し中の作家コンビによる共作。こんなのさー、適当に録音してでかいレーベルからチョチョイとリリースすればヒットは間違いなしだろ、楽勝楽勝!と言いたいところですが、時代はアメリカ大恐慌。レコードが当たり前のように売れるような景気ではありません。

そこへ、この大不況下にヒットチャートへねじ込むべき歌手として白羽の矢がたった男がいました。1920年代にシンガーとして頭角を現し、ハーレムの超人気スポット[コットンクラブ]の超人気バンド[デュークエンリントン楽団]と双璧をなすまでに昇り詰めた男。そのシンガーの名は”キャブ・キャロウェイ”と言います。

本曲の初演は1931年コットンクラブのレビュー”Rhythmania”にて初演されたことが記録に残っています。この時代のレコード制作は、まず楽曲をニューヨークの人気クラブで披露して、関係各所へアピールするみたいなノリで、何週に渡って公演された!!●●紙が大絶賛!!などの評判を元に、スポンサーを募る的な感じで行われていました。

1931年10月21日、関係各位からの評判が後押しし、もしくはここでは書けないような”大人の事情”が絡んでいるのかは謎ですが、ブランズウィックレコードに録音を残すことに成功します。これが本曲のオリジナル音源です。これは抑えておきましょう。

1932年1月25日、キャブによる本曲のヒットにあやかり、ルイ・アームストロング(コロンビアレコード)、3月21日にボズウェル・シスターズ&ドーシー・ブラザーズ(ブランズウィック・レコード)が立て続けに録音。

この当時、ヒット曲が出ると二番煎じが出るのは当たり前で、オリジナルより後続のバージョンの方が有名になってしまう楽曲もたくさんあります。

近年ではジョージ・ハリスンがMV付きでこの曲をリバイバルし、ジャズファンからもビートルズファンからもため息(悪い意味)とともに迎えられたみたいですが、私はこれはこれで好きです。ただ”絶体絶命”という謎の邦題つけた人は小一時間問い詰めたいと思っています。

歌詞は”恋に悩むあまり、君を嫌いになっても好きでいることも辛い、悪魔と深い海に挟まれるようにさ”という、友達に呼び出されてこんなこと相談されようものなら、

『ごめん、見たいテレビがあるから帰るね。ほんと、ごめんね!コーヒー代ここに置いとくね!』

となりがちな内容なのですが、忘れてはいけないのは、この時代から大衆の生活から輝きは奪われ、世界大戦という暗い歴史を歩み始めることです。

1930年代の始まりに録音されていますが、栄華を極めた1920年代アメリカ黄金時代の残光なのではないか、という見解もこの一見お気楽なラブソングのもうひとつの捉え方ではないでしょうか。

おまけですがこのキャブ・キャロウェイ。当時バンドメンバーだったディジー・ガレスピーとステージ上で唾がかかったのなんだのという”マジでどうでもいい理由”で揉めて、ナイフで足を刺されるという憂き目にあいます。

1970年代には映画ブルースブラザーズで圧巻のパフォーマンスを披露。このシーンこそ、本解説の年代のニューヨークハーレムでのレビューショーの様相を模したものとなっています。映画自体もとてもオススメなのでぜひこちらもご覧下さい。戦前のジャズシーン怖すぎです。

そして作詞作曲のアーレンとテーラー、10年後に”Stormy weather(1943)”という映画で共作を披露します。海と悪魔の次は”吹き荒ぶ嵐”という期待を裏切らない作風がステキです。

以上、Between the devil and the deep blue seaの解説でした。

孤独のヒュードの演奏による本曲のYouTube動画とありますので、こちらもズズイとご覧下さい。それではまた。

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